日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
成人の13番染色体部分トリソミー患者に対する歯科治療経験
嘉手納 未季酒井 絵理菜馬目 瑶子栗谷 未来浅川 剛吉五島 衣子飯島 毅彦船津 敬弘
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2016 年 37 巻 2 号 p. 174-179

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抄録

13トリソミーは21トリソミー,18トリソミーに次いで頻度の高い染色体過剰症で,13番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症である.13トリソミーにみられる臨床所見として,重度の精神運動発達遅滞やけいれん,全前脳胞症などの中枢神経系合併症,無呼吸発作,先天性心疾患が知られており,頭蓋顔面の特徴として,唇顎口蓋裂などを合併する.多くが1年以内に死亡する生命予後のきわめて不良な症候群である.今回われわれは,成人の13番染色体部分トリソミー患者に対する全身麻酔下および外来での歯科治療を経験したので報告する.

患者は22歳であり,菌血症にて入院加療後,体外からの菌の侵入が疑われ細菌侵入経路として口腔が指摘され,今後の感染リスクを考慮して口腔内精査のため歯科受診を勧められ来院した.齲蝕は多数歯に認め,全身麻酔下での歯科治療を計画し,齲蝕処置,乳歯の抜去を行った.全身麻酔下治療の1カ月後に抜歯に起因したと考えられる肺膿瘍で入院し,その後も感染症での入退院が続いたが,現在は定期的に歯科を受診できるようになり,保護者の口腔ケアへの意識の高まりを認め,口腔内状態はかなり改善し,胃瘻からの栄養で身長,体重ともに増加している.

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© 2016 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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