2018 年 39 巻 2 号 p. 181-185
あいち小児保健医療総合センターは平成13年11月に開院し,愛知県の小児保健の中核的な役割を担うとともに,県内唯一の小児病院として先進的な医療も受け持つ小児保健医療施設である.歯科口腔外科は小児の口腔外科疾患を主に,口腔に関する疾患すべての診断と治療を行うべく,平成15年5月に開設された.基礎疾患などの理由により,地域の歯科医療機関での治療が困難である小児にも対応している.今回,過去14年間の当科における全身麻酔下歯科治療の動向について調査した.対象症例199例中,実患者数は183名(男児113名,女児70名)で,年齢の中央値は6歳.症例の88%に基礎疾患を認め,多くは自閉症スペクトラム障害であり,次いで知的能力障害,先天性心疾患などを認めた.1回あたりの平均治療歯数は9.6歯,平均治療時間は2時間11分であった.全身麻酔下歯科治療後の口腔管理は,本来,地域の歯科医療機関で行うものと考えるが,3カ月を経過した時点でも半数が当科を受診していた.これは一次医療機関における受け入れ体制が整っていないことに起因する.障害児の歯科医療の提供に関し,円滑かつ確実な医業分担による医療連携の体制が望まれる.また正確な障害児歯科医療支援の情報提供も重要と考える.