日本障害者歯科学会雑誌
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39 巻, 2 号
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講座
宿題報告
原著
  • 藤井 美樹, 野村 佳世, 杉本 恵里, 堀部 森崇, 名和 弘幸, 野村 繁雄, 福田 理
    2018 年39 巻2 号 p. 103-109
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    食べる機能は学習により獲得されていくものであり,障害のある子どもはさまざまな要因により摂食・嚥下機能の障害を認めることが多い.そのため,口腔機能の発達を促すには個々の発達に応じた対応が必要と考えられる.そこで本研究は,特別支援学校の教員が給食場面で感じている知的障害のある児童・生徒の食べ方の問題点を抽出し,支援方法を検討することを目的とした.

    特別支援学校の教員56名を対象に,児童・生徒の食べ方で気になる項目について調査を行い,記載された内容を24項目に分類した.

    食べ方で気になることが「ある」と回答した教員は小学部96%,中学部85%,高等部80%で有意差は認められなかった.また,3学部の教員が児童・生徒の咀嚼や食べ方に問題があるとした項目数は,小学部では多く高等部では少なかった.教員が児童・生徒の食べ方で問題点として捉えた項目は多い順に,小学部「嚙まない」「口に物をためる」,中学部「丸飲み」「嚙まない」,高等部「丸飲み」「早食い」であった.また24項目中,学部間でどの項目が効いているかロジスティック回帰分析を行ったところ,「嚙まない」は低学年に属する可能性が高かった(p<0.05).

    「嚙まない」「丸飲み」などの問題は小学部から高等部まで認められるために,窒息,誤嚥のリスクの低減のためにも早期からの計画的な教育・支援の必要性が示唆された.

  • 村井 朋代, 大島 邦子, 野上 有紀子, 花﨑 美華, 中島 努, 丸山 直美, 早﨑 治明
    2018 年39 巻2 号 p. 110-118
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    小児や障害児・者および要介護者の口腔衛生には,保護者または介助者による介助磨きが重要である.しかし,その発達や障害の種類・程度・体格や年齢および環境により,介助磨き時の姿勢はさまざまである.今回,日常的に介助磨きを行っている女性歯科衛生士20名を被験者とし,介助磨き時の姿勢と歯磨き運動および歯垢除去効果の関連について検討した.

    永久歯列模型を装着したマネキンを仰臥位と対面位の2種類に設定し,一口腔を上下顎前歯部臼歯部頰舌側の12ブロックに分割したうえで,各ブロック10秒間の介助磨き運動を計測した.計測には歯ブラシに装着した三次元加速度計およびストレインゲージを用いた.また,模型にはあらかじめ人工歯垢を塗布し,介助磨き後の歯垢残存面積を計測した.その結果,刷掃法は両姿勢ともに,前歯部舌口蓋側のみ縦磨き,他の部位はスクラッビング法であった.前歯部では両姿勢で1ストローク時間に有意差はなかったが,上顎前歯部口蓋側の三次元変位量は対面位のほうが小さかった.臼歯部では,対面位のほうが仰臥位より1ストローク時間が長く,逆に三次元変位量が小さい,すなわちリズムの遅い運動であった.また,対面位では上顎中切歯口蓋側の歯垢残存量が多かった.介助磨き時の姿勢は,環境や個人の全身および口腔内状況により制限を受けるため統一は困難である.各姿勢の特徴を理解し,より効率的な介助磨きを検討していくことが重要と考えられた.

  • 伊藤 あゆみ, 高橋 温, 松坂 久美, 長沼 由泰, 佐々木 啓一, 猪狩 和子
    2018 年39 巻2 号 p. 119-125
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    東日本大震災が障害児・者の定期的歯科通院に及ぼした影響を明らかにし,災害時の障害者支援に資するために,震災前に定期的歯科受診を継続していた障害児・者を対象として,震災後の歯科受診再開状況を調査した.

    震災前に定期受診を継続していた841名を対象として,震災後の初回来院日,震災時の年齢,居住地と主たる障害および震災後12カ月までの当院他科受診の有無を外来診療録から調査し,分析した.その結果,1)定期通院をしていた患者の68.1%が3カ月以内に,83.6%が6カ月以内に受診を再開し,12カ月後にはほぼ平常時の水準となった.2)震災前に定期受診をしていた患者の約8割は,震災後もほぼ同じ間隔で定期受診を継続していた.3)震災前の居住地が津波・原発被災地域内にあった107名では,3カ月以内の再受診者率は49.5%と,それ以外の地域の734名の再受診者率70.8%と比較して有意に低く(p<0.001),経時的に上昇したものの震災5年後も有意に低いまま経過した.4)震災後3カ月および6カ月以内の受診再開に対する関連要因として,津波・原発被災地域であることおよび同じ病院の他の診療科の受診があることが抽出された.5)患者の年齢と主たる障害の種類においては再受診者率に差がみられなかった.

    以上より,被災状況が甚大な地域の患者では再開が遅れたものの,定期受診を継続していた患者では一時的に受診が抑制されても1年以内には回復したことが明らかとなった.

  • 田村 文誉, 辰野 隆, 蒲池 史郎, 鈴木 健太郎, 山田 裕之, 田中 祐子, 菊谷 武
    2018 年39 巻2 号 p. 126-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    自閉スペクトラム症(ASD)児者の保護者が感じている食の問題に関する困りごとや要望を明らかにし,適切な支援に繋げることを目的としてアンケート調査を行った.某親の会の会員248名中,4歳以上18歳未満の120名について検討した.アンケートの内容は,保護者,子どもの基本情報,子どもの現在の食事,摂食指導の経験,歯の困りごと,について合計45問を設定し,それらのうち食の問題について検討した.統計処理は,年齢群との関連についてPearsonのχ二乗検定(両側検定)を実施し,さらに個々の年齢群間について下位検定(多重比較)としてFisherの直接法(片側検定)を用いて検討を行った.

    回答者のほとんどが母親であった.子どもの性別は男子が8割を占めた.子どもの年齢群別に検討したところ,保護者の悩みである,子どもに合った食事の作り方がわからない,食事を作っている時間が無い,子どもがあまり食べてくれない,の各項目と,子どもの食事の心配ごと・困りごとである,偏食,食べこぼす,集中できない,の各項目は4~11歳時群で最も多く,他の年齢群との間に有意な関連が認められた(p<0.05).

    本調査の結果より,ASD児者の食の問題は,年齢に影響を受ける可能性があると考えられた.また,子どもの年齢的には未就学児から小学生までの期間において問題を感じている保護者が多く,偏食,食べこぼす,集中できない,という問題は,高年齢になるに従い減少した.食の問題の項目によって経過観察,あるいは心理的配慮や環境調整が適している問題と,専門的な摂食指導が必要なものとがあることが示された.

症例報告
  • 髙橋 珠世, 大植 香菜, 吉田 啓太, 向井 友宏, 小田 綾, 好中 大雅, 向井 明里, 入舩 正浩
    2018 年39 巻2 号 p. 137-142
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    Williams症候群は,妖精様顔貌,大動脈弁上狭窄などの心血管系疾患や知的障害などを主徴とする症候群である.知的障害を伴うことにより,入院という環境変化への適応困難が予測されたが,周術期の死亡例が報告されていることから,日帰り全身麻酔の適応はないとする報告もある.今回,われわれは,Williams症候群患者の上下顎両側第三大臼歯抜歯術に対する入院下周術期全身麻酔管理を経験した.症例は,18歳女性で上下顎両側第三大臼歯の抜歯術を予定した.問診時,両親から,手術に対する恐怖心が非常に強く,ストレスを感じると入院自体が困難になる可能性があるとの申告があった.そのため,本人には入院や手術について伝えず,病室では血圧測定や聴診などこれまで実施できていた医療行為のみ行い,リラックスできる空間となるよう努めた.手術当日は,手術室入室前に麻酔前投薬として病棟でミダゾラムを静注した.手術室での麻酔導入はスムーズであり,小顎であったがマスク換気や気管挿管操作は問題なく行えた.術中も特に問題なく経過した.抜管直後の見慣れない環境に対する不安・恐怖を回避するため,ミダゾラムを静注した後に,一般病棟へ帰室させた.帰室後も問題なく経過し経過良好であったため,翌日退院となった.本症例では,合併する疾患により入院下での麻酔管理としたが,本人がストレスと感じることを可及的に回避するよう努めたことで,問題なく入院下手術を終了することができた.

  • 酒井 有沙, 伊藤 みゆき, 岩重 春伽, 平川 景子, 塚脇 香苗, 宮下 直也, 砂田 勝久
    2018 年39 巻2 号 p. 143-147
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    Lennox-Gastaut症候群(LGS)は,難治性のてんかん発作,精神遅滞を主徴とする疾患である.麻酔管理上の問題点として,てんかん発作の予防および麻酔薬と内服薬との相互作用に注意することが挙げられる.今回,LGS患者をプロポフォールのみで管理したので報告する.患者は,43歳女性.2歳時にLGSと診断され,カルバマゼピン,クロバザム,トピラマート,ルフィナミドが処方されている.開口保持困難のため,静脈内鎮静法下での治療を計画した.

    初回麻酔前に小発作があり,導入前より傾眠傾向であった.静脈路確保後,プロポフォール20mgを投与しBIS値が60~70を示すように4mg/kg/hで維持した.術中,血圧変動や呼吸抑制は認められなかった.2回目の麻酔導入前は覚醒しており,プロポフォール50mg投与後にBIS値が40~60を示すように2~6mg/kg/hで維持した.2回ともてんかん発作は認められなかった.

    ベンゾジアゼピン(BZ)はてんかん発作の予防に有効であり,本症例でもクロバザムを内服していた.フルマゼニルは,BZと競合的に拮抗する.したがって本症例にフルマゼニルを投与するとクロバザムの作用が減弱し発作を引き起こす可能性が考えられる.そこでBZの投与は避け,半減期の短いプロポフォールのみで管理した.またBISモニタは鎮静状態を把握でき脳波を連続でモニタするため,コミュニケーション困難を伴うてんかん患者の麻酔管理にも有用であった.

  • 森田 浩光, 中島 正人, 山口 真広
    2018 年39 巻2 号 p. 148-153
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    癌化学療法に際し,直径5~6mmを超える慢性歯根囊胞を有する歯は,急性化や血行感染予防のため化学療法前に抜歯もしくは感染根管治療を完了することが推奨されている.今回,ステージⅣの切除不能胃癌患者に対する化学療法中に,直径5mmを超える大きな根尖病巣を有する歯に対し,感染根管治療により保存できた症例を経験したので報告する.

    患者は71歳の男性.切除不能胃癌(ステージⅣ)と診断され,2015年5月から当院外科にて化学療法(S1/CDDP療法)施行予定となり,化学療法中の口腔管理のために当科紹介となった.当科初診日に,エックス線写真撮影を含む口腔内精査を行い,に直径5mmを超える大きな根尖病巣を発見した.抜歯適応と考えられたが,これまで当該歯に自覚症状はなかったことから保存を強く望んだため,感染根管治療を行うこととした.は良好な経過を辿ったため,初診日から3カ月後に根管充塡を行った.全身的にも化学療法が功を奏し,8カ月後のPET-CT検査によりリンパ節転移を含めた病巣の縮小化がみられた.その後,XELOX療法に変更され,急激な白血球減少に伴い口腔粘膜炎が発症し,粘膜炎に対する処置を要したが,すべての化学療法の期間を通じて,に再感染や症状などは現れなかった.以上の結果より,癌化学療法中でも急性症状がなく適切な感染根管治療を行えば,大きな根尖病巣を有する感染歯を保存できる可能性が示唆された.

  • 武者 篤, 布施 亜由美, 鈴木 奈穂, 福島 圭子, 大串 圭太, 五味 暁憲, 黒田 真右, 辻野 啓一郎, 横尾 聡, 一戸 達也, ...
    2018 年39 巻2 号 p. 154-159
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    mTOR阻害剤のエベロリムス(アフィニトール®)は結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に有効であるが,口腔粘膜炎が高頻度に発症することが報告されている.今回,エベロリムスの内服治療を行うことになった結節性硬化症患者の口腔管理を経験したので報告する.

    患者は20歳,男性.既往として結節性硬化症,知的能力障害,てんかん,腎血管筋脂肪腫がある.腎血管筋脂肪腫に対する治療としてエベロリムス10mgを内服開始するにあたり,泌尿器科主治医より歯科受診を勧められ当施設を受診した.口腔粘膜に異常所見は認めないが清掃状態は不良であり,頰側転位している上顎左側第二小臼歯鋭縁による口腔粘膜炎発症が懸念された.第二小臼歯の予防的な抜歯と定期健診および口腔衛生指導を行うこととした.頰側転位している第二小臼歯は6カ月後に抜去した.その後数回にわたり口腔清掃不良の時期と一致して軽度な口腔粘膜炎(grade 1)の発症があったものの食欲減退はなく,重篤な口腔粘膜炎発症によるエベロリムスの減量や中止にいたることはなかった.抜歯後も継続して月1回の定期健診を行っているが,口腔粘膜炎が重篤化することはなく,エベロリムス内服治療へ影響することはなかった.

    本症例は口腔粘膜炎を最小限に抑えることができ,重篤な口腔粘膜炎が原因の内服治療の中止や腎血管筋脂肪腫の増大を起こすことなく経過している.これは主治医との連携と,定期健診や口腔衛生指導が適切に行えたことによると考えられた.

臨床集計
  • 前濱 和佳奈, 木村 敬次リチャード, 緒方 麻記, 三浦 真理, 天野 郁子, 加地 千晶, 尾崎 茜, 利光 拓也, 高良 憲洋, 緒方 ...
    2018 年39 巻2 号 p. 160-167
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    肢体不自由児の保護者がかかりつけ歯科医療機関に対して求めていることを知る目的で,2つの市の特別支援学校(肢体不自由)3校の保護者334人を対象にアンケートを行った.回収されたのは229部(68.6%)であったが,このうち保護者がかかりつけと考えている歯科医療機関に年1回以上の定期通院をしていると回答した169部(50.6%)について集計を行った.

    現在のかかりつけ歯科医療機関の良い点として「障害者歯科の専門性が高い」100人,「歯科医師の対応がよい」97人,「スタッフの対応がよい」88人と医療者に関する選択が多く,次いで「近い」64人であった.「バリアフリー設計である」は50人であり,これを評価する者は多くなかった.また,「医科が併設」や「通所やリハビリ施設が併設」はそれぞれ22人と17人であった.

    「こんな歯科があればいいな」と思うことを自由に記載する設問では,92部に記載があった.それらの内容からキーワードを抽出して分類すると,「専門性」25人,「バリアフリー(含,トイレ)」24人,「患者への理解と応対」20人,「診療台(含,診療姿勢)」「治療での理解や配慮」各19人の順に多かった.

    以上のことから,肢体不自由児の保護者は歯科医療機関に対して専門性の高さや医療者の対応の良さを評価しており,バリアフリー化については満足度が高くないことが示唆された.

  • 長田 豊, 井元 拓代, 三村 恭子, 高比良 喜世美, 川添 朋子, 彌永 知子, 喜多 慎太郎
    2018 年39 巻2 号 p. 168-173
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,当センターを受診している障害を有する患者のうち,酸蝕症である患者を対象としてアンケートおよび口腔内所見について調査を行い,その実態を把握することである.また,それを基に酸蝕症の原因,予防法や治療法を検討することである.

    明らかに酸蝕症と診断された患者は21名(男性18名,女性3名,平均年齢37.9±5.9歳)で対象者の4.6%であった.障害別では,自閉スペクトラム症が13名(61.9%)で対象者の10.8%,知的能力障害が8名(38.1%)で対象者の3.3%であり,障害の程度は,19名(90.5%)が重度であった.反芻癖は10名(47.6%)に認められた.唾液のpHは平均6.45±0.26であった.充塡物脱離は7名(33.3%),う蝕は6名(28.6%)にみられた.飲み物や食べ物のこだわりは,コーラ,コーヒー,ジュース,柑橘類の順に多く,また,問題行動は17名(81.0%)に認められた.

    今回,酸蝕症と診断された患者は,障害別では自閉スペクトラム症や知的能力障害者に認められた.また,反芻癖や問題行動が認められ,コーラやジュースなどの酸性飲料を好む患者が認められたことから,内因性と外因性の原因が考えられた.そのため,原因別に対応する必要があると思われた.

  • 野々山 順也, 野々山 郁, 嶋﨑 義浩
    2018 年39 巻2 号 p. 174-180
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    知的障害児は,自身による歯磨きが困難であり,養育者による「仕上げ磨き」が必要となる.手を使って相手の身体に触れるケアである「タッチケア」は,子供の緊張,不安感を軽減させる効果がある.そこで本研究では,知的障害児の養育者に対して,タッチケアを併用する仕上げ磨きの指導を行い,仕上げ磨き実施困難に対する改善効果および口腔内環境の変化について検討を行った.

    愛知県内の療育施設を利用する19人の知的障害児とその養育者を対象とした.調査開始時に,知的障害児の口腔内診査と唾液検査を行った.養育者に対して,仕上げ磨き実施状況に関するアンケートおよび仕上げ磨きの指導を含む口腔保健指導を行った.指導開始から6カ月後の再評価時に,調査開始時と同じ口腔内診査と唾液検査を行い,養育者に仕上げ磨きの実施状況の変化について尋ねた.

    再評価時の養育者の仕上げ磨きの実施状況は,毎日実施する者や寝かせた状態で行う者が増加し,仕上げ磨きの時間が長くなる傾向がみられ,仕上げ磨きのときに,泣く,暴れる,嫌がる状態に改善がみられた.また,養育者の8割以上が本研究への参加に満足感を示した.調査開始時と再評価時で唾液検査の結果に顕著な変化は認められなかった.

    本研究より,タッチケアを併用した仕上げ磨きの指導は,知的障害児の口腔の健康管理にとって効果的であると考えられる.

  • 加納 欣德, 山本 知由, 太田 那菜, 飛嶋 かおり, 藤井 美樹, 外山 敬久, 名和 弘幸, 渥美 信子, 福田 理
    2018 年39 巻2 号 p. 181-185
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/31
    ジャーナル フリー

    あいち小児保健医療総合センターは平成13年11月に開院し,愛知県の小児保健の中核的な役割を担うとともに,県内唯一の小児病院として先進的な医療も受け持つ小児保健医療施設である.歯科口腔外科は小児の口腔外科疾患を主に,口腔に関する疾患すべての診断と治療を行うべく,平成15年5月に開設された.基礎疾患などの理由により,地域の歯科医療機関での治療が困難である小児にも対応している.今回,過去14年間の当科における全身麻酔下歯科治療の動向について調査した.対象症例199例中,実患者数は183名(男児113名,女児70名)で,年齢の中央値は6歳.症例の88%に基礎疾患を認め,多くは自閉症スペクトラム障害であり,次いで知的能力障害,先天性心疾患などを認めた.1回あたりの平均治療歯数は9.6歯,平均治療時間は2時間11分であった.全身麻酔下歯科治療後の口腔管理は,本来,地域の歯科医療機関で行うものと考えるが,3カ月を経過した時点でも半数が当科を受診していた.これは一次医療機関における受け入れ体制が整っていないことに起因する.障害児の歯科医療の提供に関し,円滑かつ確実な医業分担による医療連携の体制が望まれる.また正確な障害児歯科医療支援の情報提供も重要と考える.

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