日本障害者歯科学会雑誌
Online ISSN : 2188-9708
Print ISSN : 0913-1663
ISSN-L : 0913-1663
原著
衣服の着脱可能な自閉スペクトラム症児における歯科治療時の行動特性
横田 誠小笠原 正岡田 尚則牧井 覚万望月 慎恭
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 40 巻 2 号 p. 137-145

詳細
抄録

衣服の着脱が自立している自閉スペクトラム症児(以下,ASD児と略す)の歯科場面での行動特性は明らかになっていない.今回,浸潤麻酔下の歯科治療場面での行動を観察し,行動特性とその要因を検討した.

ASD児16名と定型発達児40名を対象に,歯科治療を12場面に区分し,決定木分析を用いて検討した.12場面の行動は,「適応:終始協力的」「やや不適応:体動・会話はみられたが,診療の妨げにならなかった」「不適応:拒否行動があり,診療の妨げになった」に評価した.

「適応」が定型発達児では87.5%,ASD児が6.2%と有意に少なかった(p<0.01).ASD児では87.5%の者が浸潤麻酔下での歯科治療が可能であった.各診療場面の適応者は,すべての場面において,ASD児は,定型発達児より有意に少なく(p<0.01),「診療台に座る」「開口指示」「口腔内診査」の3場面の適応要因は,移動運動の発達年齢が4歳6カ月以上であれば,適応性を示す可能性が示唆された.ASD児が適応性に最優先される場面は,「仰臥位にする」「説明(視覚支援)」「表面麻酔塗布」「表面麻酔の待ち時間」「浸潤麻酔」「浸潤麻酔の待ち時間」「歯科処置」「座位に戻す」の8場面であり,やや不適応な行動がみられるのがASD児の特性であることが抽出されたが,診療の妨げにはいたらないことから地域での歯科治療は可能であることが示唆された.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本障害者歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top