日本障害者歯科学会雑誌
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臨床集計
全身麻酔下での歯科治療終了後の定期検診未受診の要因に関する検討
田中 健司廣瀨 陽介向井 千加子村上 旬平秋山 茂久
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2020 年 41 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

障害者歯科医療における地域連携を促進する目的で,全身麻酔下による歯科治療を終了したが,その後の定期検診を受診しなかった患者の未受診の原因を明らかにするために,アンケートにより調査を行った.

調査対象は,当診療所にて歯科治療が終了し,かかりつけ歯科医院に逆紹介した患者691名とした.そのうち,かかりつけ歯科医院への定期検診受診が確認できなかった患者250名に対してアンケート用紙を郵送した.調査内容は当診療所での治療終了後の歯科受診状況,未受診にいたる理由,および当診療所の全身麻酔下歯科治療の満足度の評価などとした.

アンケート回収率は36.4%(91/250名)であった.そのうち,かかりつけ歯科医院への未受診患者は42名であった.未受診率は未就学児,小学生および在宅患者で高く,紹介先別では2次医療機関に紹介した症例が多かった.定期検診の未受診にいたる要因として,「忙しい,時間が合わない」が16名,「歯科治療への適応行動が困難である」11名,「口腔内に問題がないから」6名,「学校検診を受けているから」2名などの理由が挙げられた.未受診患者の満足度調査では全身麻酔に関するインフォームドコンセントや治療内容に関しては90%以上満足していた.しかし,高い満足度を示した患者のすべてが定期検診を受診していたわけではなかった.以上より,今後も治療終了後の定期検診の重要性を改めて啓発し,さらなる地域連携を強化する必要があるものと思われた.

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© 2020 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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