応用地質
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土壌汚染問題と地質技術者の役割・課題
石川 浩次大野 博之
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2010 年 50 巻 6 号 p. 362-373

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抄録

 土壌汚染対策法が平成14年に制定され, 平成21年4月に大幅な改正法が成立した. これは, 本対策法に基づかない土壌汚染の発見の増加, サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策, 掘削除去に伴う搬出汚染土壌の適正な処理が課題となり動き出したものである. 一方, 根本となる土壌汚染調査は, 国が指定した調査機関によって専門的に実施されており, 技術的で第3者的な立場からの汚染調査が実施されることになることは変わらず, むしろ地質技術者の役割は増加してくるものと思われる. しかし, 土壌汚染は外観からの発見が困難であり, かつ簡便には汚染の源や範囲等を特定し難く, そのための技術的問題が課題となって久しい. それとともに, 人の健康を保護するうえでの社会的な役割・課題が問題となってきているものの, この点も解決には至っていない.
 本論では, このような状況を踏まえ, 土壌汚染の現状を概観し, 土壌汚染調査による原因判断が必ずしも十分とはいえない状況を鑑み, 今後の地質学に携わる者の社会的役割と技術的課題について所見を述べる.

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© 2010 一般社団法人 日本応用地質学会
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