応用地質
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報告
北海道長流川流域における鉱床・熱水変質帯と重金属類の流出に関する調査
原 淳子垣原 康之川辺 能成井本 由香利駒井 武
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2010 年 51 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

 本報告では, 支流域に多くの鉱床・熱水変質帯が分布する北海道長流川流域を調査対象地域として, 鉱床・熱水変質帯が深度50cmほどまでの表層土壌中の重金属類濃度にどのような影響を与えているのか調査, 検討を行った. 各鉱床・熱水変質帯には亜鉛, 砒素, 鉛, 銅, ニッケルなどの重金属類に富む岩石が多量に分布した. 変質帯からの重金属類の影響は各支流域に分布する表層土壌には少なく, 河川堆積物を母材とする下流域で砒素の溶出率が高い表層土壌が確認された. 砒素はその物理化学特性から河川を介して溶解と変質鉱物への吸着・沈殿を繰り返しながら移動しうる. ところが供給源となる変質帯から河川への砒素の流出ポテンシャルは変質帯の性状および露頭環境に依存して異なり, 本調査地域では河川沿いの露頭に褐鉄鉱鉱床変質帯の分布する紫明川, 弁景川でのみ高濃度の流出を示した.

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© 2010 一般社団法人 日本応用地質学会
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