応用地質
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51 巻 , 1 号
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論説
  • 越谷 賢, 丸井 敦尚, 吉澤 拓也
    2010 年 51 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     地質学には基礎科学としての側面と応用科学としての側面がある. 作成される地質図は地表と地下における自然現象を解明するとともに, 人類の社会, 経済活動に有用な情報を提供してきた. 地質図は, 古くから2次元で表現されてきたが, 近年のコンピュータの処理技術の向上とともに, 数値化が行われ, 3次元の地質図が作成されるようになってきている. 日本では地下情報のデータベース化が進められているため, 今後はこれらを活用した地質図の3次元モデルに関する研究が一つの主流となるものと考えられる. また, 情報技術の発達に伴う地質図の情報配信の変化は, 利用者の拡大と多様化をもたらしており, これまでの専門性の高さを失わずに, 利用者にとってよりわかりやすい情報配信が必要となっている. 利用者の要求を満たし, 情報の価値をより高めるため, 地質図の3次元化は有効な方策である. このため, これからの地質情報の配信においては, 3次元情報の配信を積極的に行っていくべきであろう. これらの背景から, 本論では地質図の表現方法の変遷や地質図の3次元モデル化に係る研究の動向と課題を抽出するとともに, 今後の方針について言及した.
論文
  • 川﨑 了, 小潟 暁, 広吉 直樹, 恒川 昌美, 金子 勝比古, 寺島 麗
    2010 年 51 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     筆者らは, 土や岩の代表的なセメント物質である炭酸カルシウムまたはシリカを主成分とし, 微生物の代謝活動により土や岩の間隙や岩の割れ目を自然に閉塞させる新たな概念に基づくグラウト, すなわち, バイオグラウトを開発するための基礎的な研究を実施中である. 本論文では, 炭酸カルシウムを用いたバイオグラウト, すなわち, 炭酸カルシウム法に関して検討を実施した結果について報告する. 具体的には, 日本各地より採取した自然の土壌中に生息する微生物を用いて試験管による炭酸カルシウムの析出試験を行い, 試験時における温度の違いが炭酸カルシウム析出に与える影響について調査した. その結果, 温度5~35℃の低~中温域において, 土壌微生物により炭酸カルシウムが試験管内に析出することが示唆された. 一方, 試験に用いた土壌微生物の菌数測定および遺伝子解析を実施し, 試験前後の土壌中に含まれる微生物相の変化に関して, 生菌数, 最も出現頻度の高い菌の菌数およびその帰属分類群を用いることにより比較を行った. その結果, それらは主にPenicillium属およびAspergillus属の菌類であり, 有機栄養源を活発に代謝することにより菌数が増加したものと推定された.
  • 亀谷 裕志, 金井 哲男, Jianliang DENG, 堤 千花, 古関 潤一
    2010 年 51 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     2004年新潟県中越地震で斜面崩壊が生じた2地点において, すべり面の力学特性の評価に重点をおいた調査を行い, その結果に基づき崩壊メカニズムについて考察した. いずれの崩壊地点も地層傾斜15~20°程度の流れ盤の緩い斜面であり, 平滑に近い層理面に沿って弱面が発達していた. 弱面を含む不攪乱試料を用いた室内試験では35~40°の内部摩擦角が得られ, 粘着力は不飽和状態では10kPa程度で飽和状態では0kPaであった. これらの強度に基づく安定解析によれば, 常時の水位変動に対して斜面は十分に安定であったこと, 地震前の降雨による飽和化が崩壊に寄与したことがわかった. 一方, 斜面が長距離移動したという崩壊の形態を考えると地震動によって弱面の強度が低下したことが想定された. 室内で実施した単純せん断試験によれば載荷方向の反転を伴う繰り返し荷重を与えることにより弱面の強度が低下することが確認された. したがって, 崩壊の原因のひとつとして地震による繰り返し荷重が緩い斜面に作用することにより荷重の方向が反転し, その影響により弱面の強度が低下したことが考えられる.
報告
  • 原 淳子, 垣原 康之, 川辺 能成, 井本 由香利, 駒井 武
    2010 年 51 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     本報告では, 支流域に多くの鉱床・熱水変質帯が分布する北海道長流川流域を調査対象地域として, 鉱床・熱水変質帯が深度50cmほどまでの表層土壌中の重金属類濃度にどのような影響を与えているのか調査, 検討を行った. 各鉱床・熱水変質帯には亜鉛, 砒素, 鉛, 銅, ニッケルなどの重金属類に富む岩石が多量に分布した. 変質帯からの重金属類の影響は各支流域に分布する表層土壌には少なく, 河川堆積物を母材とする下流域で砒素の溶出率が高い表層土壌が確認された. 砒素はその物理化学特性から河川を介して溶解と変質鉱物への吸着・沈殿を繰り返しながら移動しうる. ところが供給源となる変質帯から河川への砒素の流出ポテンシャルは変質帯の性状および露頭環境に依存して異なり, 本調査地域では河川沿いの露頭に褐鉄鉱鉱床変質帯の分布する紫明川, 弁景川でのみ高濃度の流出を示した.
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