応用地質
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論文
GPS時刻同期による高密度スペクトル分解能を実現した深部電磁探査装置の開発
城森 明光畑 裕司西村 進城森 信豪近藤 隆資高橋 哲矢
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2010 年 51 巻 2 号 p. 62-72

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抄録

 地下深部の構造を探査する方法として, 数km隔てた送信源から電磁信号を送信し, 地下で誘導された電磁場を受信点で測定することにより, 地下数kmまでの比抵抗構造を探査する方法がある. この方法は電磁探査の一種でありCSMT探査やTDEM探査と呼ばれている. 電磁探査では誘導された微弱な電磁信号を確実に受信し, 抽出することが大きな課題となる. 一方, 商用電源など人工的なものから発生する電磁ノイズが電磁探査にとってノイズとなる.
 本研究では, ノイズが多く含まれる受信波形の中から微弱な信号を抽出するための効率の良い波形処理方法を検討した. その結果, 周波数分解能(スペクトル分解能)を向上させることが重要との結論に達した. そのためには処理する時系列データの時間長を長くする必要があり, 送信と受信の時刻同期精度が重要となる.
 本研究では, GPSの時刻パルスにより, 内蔵した高精度時計を同期させることのできる高い周波数分解能を備えた地下深部電磁探査装置(Geo-SEM)を開発した. この装置を用いることで, ノイズの多い街中でも電磁探査の測定が可能となる. さらに開発した装置を用いた調査事例として, 南紀白浜温泉地域で実施した探査について報告する.

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© 2010 一般社団法人 日本応用地質学会
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