抄録
北海道内に設置されている533施設の産業廃棄物最終処分場に関する既存資料の収集と最終処分場周辺での地質調査を行い, 立地地層の水理地質学的特徴についてまとめた. 本研究では立地地層をその透水性の観点から不透水層タイプ, 透水性地質タイプ, 浅部透水―深部不透水層タイプ, 透水性不均質タイプの4タイプに区分した. 北海道内の多くの最終処分場は沖積層や火砕堆積物などの未固結で透水性の良い堆積物に立地している. そのため, 56.3%の最終処分場が透水性地質タイプの地層に立地していることがわかった. このタイプに立地する最終処分場からの浸透水は地下深部まで移動しやすいと考えられ, もし浸透水に有害物質が含まれている場合, それが広範囲に移動することが考えられる. したがって, 最終処分場周辺での地下水質の観測が重要な役割を持つと考えられる. 一方, 最も浸透水の拡散の危険性が小さいと考えられる不透水層タイプに立地する最終処分場は26.5%であった. 本研究で得られた各最終処分場の水理地質学的なデータは, その周辺において地質・地下水汚染などが発生した場合に, 迅速に状況判断を行い, 汚染拡大を防ぐための対策を行う際の重要な情報になる.