応用地質
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報告
八丈島における地熱開発および利用について
松山 一夫武田 康人下田 昌宏高村 光一小野 高志
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2011 年 51 巻 6 号 p. 273-279

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抄録

 八丈島における地熱調査は, 東京電力(株)により1984年度から開始され, 1989年度からは(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による地熱開発促進調査が行われ, 東山南部地域に300℃以上の高温地熱資源が存在することが確認された.
 この地熱開発促進調査の結果を受けて, 東京電力(株)では地熱発電所立地地点調査を行い, 1995年度に3本の調査井を掘削して蒸気生産に成功し, 発電所建設を経て, 1999年3月25日に営業運転を開始した. 現在, 生産井1本により平均出力2,000kWの発電を安定して継続しており, 八丈島のベース電源として利用され, 地熱発電所の運転により従来の内燃力発電と比較して, 二酸化炭素の排出量が約4割削減されている.
 一方, 八丈町は, 地熱発電所の建設と並行して1992年度から温泉開発を進め, 4つの町営有料温泉利用施設を建設し, その利用者は年間約17万人である. また, 冬季間, 地熱発電所の余熱を利用して発電所周辺の温室ハウスへ熱供給を行っている.
 本報告は, 八丈島における地熱開発の経過, 地熱資源の分布状況および地熱利用の現況について述べる.

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© 2011 一般社団法人 日本応用地質学会
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