応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
報告
二酸化炭素地中貯留実験によって生じた地下温度の上昇
宮越 昭暢當舎 利行高倉 伸一
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 51 巻 6 号 p. 280-287

詳細
抄録
 地下浅部の帯水層を対象としたCO2圧入実験を実施して, CO2ガスの圧入に伴う地下熱環境の変化を把握した. ガス注入井に認められた一時的な地下温度の低下を除き, CO2ガス圧入による帯水層内の温度上昇が認められた. 地下温度の上昇は, CO2ガスを圧入した帯水層の上面付近で最も大きかった. このことは, 圧入したCO2ガスが帯水層上面に沿って広がったことを示唆している. また, 地下水水質の時系列変化から, CO2ガスの溶解に伴うpHの低下と酸化還元電位の上昇が認められており, 帯水層内の鉱物の酸化に伴う発熱が地下温度上昇の要因となった可能性が考えられた. 地下温度の上昇は時間の経過とともに縮小したが, 圧入終了後35日を経過しても確認された. 本実験により, 深度約50mという地下浅部であっても, CO2ガスの圧入に伴う地下熱環境の変化が長期にわたって継続することが示唆された.
著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本応用地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top