応用地質
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論文
ソナー探査による水中の沈降状況の調査とその現象の把握
松本 謙二大渡 俊典大野 博之宮原 哲也八村 智明武馬 雅志大嶋 真由子
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2011 年 52 巻 4 号 p. 128-136

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抄録
 海面(水面)の廃棄物最終処分場は, 埋立区画の底面遮水層として, 在来地盤の沖積粘土層を利用していることが多い. 底面遮水層は, 適切な遮水構造を満足するよう, 「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52年3月14日総理府・厚生省令第1号)」においてその機能が規定されている. そのため, 海面埋立においては, 埋立物の沈降現象などを捉えることが, 周辺環境への影響などを把握するうえで重要である. しかし, 埋立物の投入による底面遮水層への影響についての調査研究事例は少なく, 実際の現象を把握することも容易ではない. これは水中に濁りなどが生じ, 現象を観測しにくくしていることが大きな原因であった. このため, ソナー探査を利用して, 埋立物の沈降現象などを観測する手法を検討し, それらの現象の把握を試みた.
 その結果, ソナー探査によって得られた画像から適切に沈降速度を求め, それらの現象を把握することができるとともに, 海底面の形状変化を捉えることが可能なことを示した. 以上のことから, ソナー探査による観測は, 海面廃棄物最終処分場における廃棄物の投入時の状況を把握するために有効な手法となり得る.
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© 2011 一般社団法人 日本応用地質学会
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