抄録
三軸伸張試験とは中間主応力が最大主応力に等しい(σ1=σ2)状態の圧縮試験を示す. 来待砂岩の円柱供試体を用いて, 側方応力(σ1=σ2)を流体圧で, 軸応力(σ3)を長軸方向から剛体ピストンによって負荷される三軸伸張試験を行ったところ, 70MPa以上の側方応力で供試体に破壊を生じてせん断および引張り割れ目が形成された. これら割れ目の立体写真を撮影し, 写真測量を用いて破断面の三次元モデルを作成した. せん断割れ目の三次元モデルから破断面の傾斜を計算すると, 側方応力の増加とともに傾斜も増加する傾向がみられる. ところで引張り割れ目はせん断割れ目から派生している. 引張り割れ目の三次元モデルから破断面のラフネスを計算すると, 軸応力の値が大きいほどラフネスが小さく(破断面が平滑に)なる傾向がみられる. すなわち, せん断割れ目の生成後に引張り割れ目が形成されたわけであるが, 引張り割れ目もこれに垂直な軸応力の影響を受けていることがわかる.