2011 年 52 巻 5 号 p. 184-191
来待砂岩は工学的背景の研究論文で用いられる代表的な砂岩のひとつであり, 力学・水理特性の実験的研究に多く用いられている岩石供試体のひとつである. 来待砂岩の空隙構造について主に述べる. 水銀圧入式ポロシメータによる空隙率と空隙分布についてその特徴を述べる. 続いて, 空隙構造観察のためのマイクロフォーカスX線CTデータを用いた3DMA手法による結果について述べる. 空隙の3次元幾何学情報として中心軸(medial axis)表示とその過程で得られる連結経路(connecting path)あるいは屈曲度(tortuosity)に関する情報を紹介する. これらの情報は地下に存在する来待砂岩の状態を推定する際や, 応力の変化に伴う透水性の変化を考慮する際の重要な空隙構造の変化に関する情報であり, 基礎的かつ重要な情報となる.