2012 年 53 巻 1 号 p. 31-42
来待砂岩を用いて透水試験を実施した.測定手法はトランジェントパルス法であり,Brace et al. (1968) による簡易解から透水係数を,および Hsieh et al. (1986) による厳密解から透水係数と比貯留率を求めた.来待砂岩の空隙構造を明らかにし,層理面内に平行でほぼ東西方向をX軸,これに直交する南北方向をY軸,そしてX,Y軸と直交する面で鉛直方向をZ軸として,主軸方向を決定して供試体を準備した.供試体の最大の拘束圧は地下1,000mレベルを想定して25MPaとし,深度ごとの水圧を考慮しながら間隙水圧を設定した.また,地質学的な時間変化を考慮した場合,大きなせん断変位を受けるあるいは破壊に至ることも想定されることから,軸差応力の関数としても透水係数および比貯留率を計測した.これらの測定結果を初期構造異方性の原因の一つである空隙構造と関連させながら議論する.