応用地質
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論文
模擬亀裂を用いた地中レーダによる亀裂性岩盤の地下水浸透状況調査に関する検討
升元 一彦栗原 啓丞
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2014 年 55 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

 岩盤内の亀裂の地下水流動特性を把握することは,放射性廃棄物地層処分や水封式岩盤貯蔵などの地下水管理において,またダムやトンネルの湧水対策のためにも重要である.とくに坑道周辺に発達する掘削影響領域は,放射性廃棄物地層処分の安全評価の観点から亀裂に沿った水みちの連続性を評価しておく必要がある.
 これに対し筆者らは,坑道周辺の亀裂内の地下水の移行経路を,水理場を乱さずに間接的に把握する調査方法として,地中レーダを用いる手法の適用性に関する研究を進めている.本研究では,地中レーダによる浸潤状況評価の可能性について,流動化処理土の試験体の間に木質系セメント板の模擬亀裂を作製し検証試験を実施した.この結果,模擬亀裂の含水状態や塩水浸透の変化を反射波形の変化,反射強度の増加により把握することができた.このことから,地中レーダによる測定を平面的に行うことにより,亀裂の水みちとしての連続性や物質の卓越移行経路を 2 次元的に把握できる可能性を示すことができた.

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© 2014 一般社団法人 日本応用地質学会
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