抄録
ボーリングコアにおける割れ目の記載を主眼とした「ボーリング割れ目柱状図」の作製法を新たに開発し,ボアホールカメラを用いて計測した各種データを記録して,どのような割れ目がどこに分布するか,視覚的に示すことができるようになった.この方法を用いて,スイスのグリムゼル岩盤試験場(GTS)において,ボーリングコア間の割れ目系の対比と有意性のある割れ目系孔間断面図の作製が可能であることを示した.GTSにおける割れ目系は,mmサイズの数枚の単独割れ目が何枚か集中してmサイズの割れ目集合体(1次オーダー)を形成し,さらにそれらがいくつか集合して2次オーダーの割れ目集合体をなしている.割れ目系の広域的な特徴,露頭規模(坑道)での露出状況および各割れ目の方向性の3者に基づいて,割れ目集合体のオーダーを考慮しながらその連続関係を検討し,2次オーダーの割れ目集合体ならば孔間距離10m程度以下での連続性を十分把握できることがわかった.またこの方法に基づいて,割れ目系と透水性との関連を解明するための原位置透水試験の改善法について検討した.