応用地質
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論説
激甚化する気象現象に係わる火山地域での豪雨災害などの特徴と課題
稲垣 秀輝
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2015 年 55 巻 6 号 p. 279-289

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抄録

 我国における火山地域の分布は,国土の1/4を占めている.この火山地域では,火山噴火災害の他,地震時や降雨時に土砂災害が発生しやすい.ここでは,火山地域の自然災害を概観し,その上で近年発生した6つの異常気象時の土砂災害についてまとめ,豪雨災時の斜面崩壊が,火山地域特有の地形・地質に基づく表層崩壊が主であり,特に浸食に弱い火山灰層は斜面に平行に堆積しており豪雨時に崩壊しやすいことを示す.また,規模の大きな災害としてはキャップロック型の崩壊がある.火山地域は,土地利用上林地になりやすく,表層崩壊が発生した場合には立木が流木となり,流木は下流域被害の増大や災害廃棄物処理の課題となる.
 最後に,激甚化する豪雨災害を対象とした火山地域での土地利用のあり方や法的制度のあり方等について論じた.

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© 2015 一般社団法人 日本応用地質学会
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