応用地質
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論文
屋久島沿岸域の岩盤露頭における単一割れ目内の充填物の年代値とその変動要因の検討
松下 智昭長田 昌彦高橋 学藤井 幸泰
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2015 年 56 巻 1 号 p. 2-14

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抄録

 岩盤中の割れ目充填物は,過去の水理・地質学的変遷に関する情報を保持していることが期待できる.著者らはこれまでに屋久島沿岸域の花崗岩・堆積岩露頭で数千年以内に固結した割れ目充填物を見出し,組成や年代値を調査してきた.特に両岩盤中の6本の割れ目から採取した17個の試料の年代値は2,460~5,130 yrBPであり,周辺の離水サンゴよりも若いことが分かっている.これは充填物の固結がサンゴの離水後であったことを示しているが,2,000年以上の幅を持つ要因などその充填過程は明らかでない.本研究では単一割れ目の充填物を対象に薄片観察と年代測定を実施し,年代値に影響を与える要因を検討するとともに充填過程を考察した.薄片観察では,組成のほか充填物内に発達する層状構造が観察された.こうした層状構造は,沈殿過程が複数回あった可能性を示している.年代測定では,単一割れ目でも2,000~3,000年の幅を持つことが明らかとなった.その要因として,試料採取位置の高さの違いだけでなく層状構造の影響が考えられた.充填物内の生物遺骸の含有率は低く,年代値に与える影響は小さいと考えられる.

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© 2015 一般社団法人 日本応用地質学会
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