応用地質
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断層活動により破砕した新第三紀泥岩のトンネル掘削における評価法
山本 拓治佐藤 秀史齋藤 宏樹鹿嶋 辰紀伊達 健介横田 泰宏成田 望
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2016 年 56 巻 6 号 p. 325-335

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抄録

旭川十勝道路は,旭川市から占冠村を結ぶ延長約120kmの地域高規格道路として計画されている.旭川十勝道路のうち,北の峰トンネル(仮称)は,延長2,928mの山岳トンネルであり,平成21年度から工事に着手している.
本トンネル周辺は,夕張山地山麓の丘陵地に囲まれており,広大な森林や豊富な地下水など豊かな自然環境が保たれている.そのため,終点側では,地下水環境の保全を目的として止水注入工やウォータータイト構造を用いた施工を進めている.
一方,この地方は富良野断層帯の一部に属することから,起点側切羽には断層活動の影響を受け,著しく破砕された新第三紀泥岩が広く分布し,トンネル掘削時に過剰な坑内変位が発生する懸念があった.そこで,破砕した泥岩の地山を適切に評価するため,先進ボーリングの工夫(主に多重構造化・コアチューブの短尺化・特殊泥水の採用),強度低下を考慮した針貫入試験,トンネルトモグラフィ探査による切羽前方・周辺の詳細調査,打球探査による迅速切羽評価,リアルタイム切羽押出し変位計測を実施した.これらの施工中の調査の結果に基づく地山評価方法について報告する.

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© 2016 一般社団法人 日本応用地質学会
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