応用地質
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論文
断層破砕帯の詳細構造解析に基づく断層の活動性の検討
山田断層の例
相山 光太郎田中 姿郎佐々木 俊法
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2017 年 58 巻 1 号 p. 2-18

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抄録

断層破砕帯の構造や構成鉱物を明らかにすることは,断層の活動性を評価するために重要である.そこで,活断層と第四紀以降に活動していない断層の特徴を把握するため,花崗岩露頭中に発達する山田断層の破砕帯を対象に詳細な構造解析を実施した.

山田断層の破砕帯は断層ガウジ帯や,断層角礫,カタクレーサイトから構成され,主断層面や数条の小断層面が認められる.主断層面は未固結堆積層を切り,断層ガウジ帯を伴う.断層ガウジ帯は10枚の断層ガウジからなる層状構造を呈する.この10枚の断層ガウジは右横ずれ剪断(せんだん)運動を示す複合面構造を呈し,主にスメクタイトからなるため,スメクタイト生成後の地殻浅部での繰り返し剪断運動により,断層ガウジ帯が形成されたと考えられる.小断層面は未固結堆積層との関係が不明で,断層ガウジを伴わず,カタクレーサイトと接する.カタクレーサイト中には,地殻深部で塑性変形した黒雲母が認められ,地殻浅部の活動を示す構造は見られないため,この小断層面は第四紀以降に活動していないと考えられる.

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© 2017 一般社団法人 日本応用地質学会
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