応用地質
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報告
蛇紋岩の割れ目分布と変形係数
―山口県宇部市丸尾地域の例―
津田 秀典
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2017 年 58 巻 1 号 p. 19-30

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抄録

山口県宇部市丸尾海岸に露出する未風化の蛇紋岩のボーリングコアにおいて,割れ目の存在状態および分布形態を記載した.ボーリング割れ目柱状図を作成すると,複数の割れ目が集合していくつかのゾーン(割れ目集合体)を形成することが確認された.この蛇紋岩体における割れ目集合体には,一般に5~20枚程度の割れ目が含まれ,平均割れ目間隔は約20~40㎜であった.一方,同じボーリング孔で実施した孔内水平載荷試験では,変形係数30~500MPaを計測した.この値を,割れ目集合体の分布に対応した局所的な変形係数に換算し直すと,それはほとんどの割れ目集合体で約30~40MPaに集中しており,割れ目に乏しい部分に比べて1 /10程度を示した.割れ目集合体の変形係数は,未風化の蛇紋岩で変形が集中する最も弱いゾーンでの平均的な変形係数を示していると考えられる.

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© 2017 一般社団法人 日本応用地質学会
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