2024 年 65 巻 3 号 p. 100-111
ナムニアップ1水力発電プロジェクトの主ダム堤敷部において,ダムの施工が進んだ段階で河床部に低角度弱層(FL-D)が出現した.そのため,FL-Dの成因,分布,連続性,および強度特性を把握するため各種の地質調査・試験を行った.せん断強度設定においては,低角度弱層の成因から強度が部位によってばらつくことを考慮し,安全側の評価を行う観点から,低角度弱層の構成材料の塑性指数や一面せん断試験の結果から強度を設定する手法を採用することとし,粘着力c=0MPa,内部摩擦角φ=25°と設定した.安定計算の結果,ダム高の大きいブロックにおいて滑動に対する対策工が必要となったため,一定の範囲の低角度弱層を掘削除去したうえで,せん断キーを設置してダムの安定性を確保した.