抄録
要旨:患者は74歳,男性。来院1週間前より排便を認めなかったため,4日前に浣腸を行った。3日前より下腹部痛を自覚し当院を紹介受診。左下腹部に圧痛,反跳痛を認め,血液検査所見で炎症反応の上昇を認めた。腹部CT検査でS状結腸憩室と腸間膜側の遊離ガス像を認め,両側の後腎傍腔まで広がっていた。以上より憩室炎発症3日後に腸間膜内に穿通したS状結腸憩室炎と診断し緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内に軽度腹水を認め,S状結腸憩室は腸間膜内に穿通していた。手術はS状結腸切除後機能的端々吻合し,腹腔内へドレーンを留置した。切除標本で粘膜面から腸間膜内へ交通する2mm大の穿通部位を認めた。術後経過は良好で術後23日目に軽快退院した。腸間膜内に穿通する憩室穿孔例では,腸管内容が間膜内に被覆され腹膜炎症状をきたしにくいため,腹部CT検査で早期に診断し,適切な手術を行うことが肝要である。