抄録
利尻島は本邦北端の火山島で, 面積1.83km2あり, 島の中央には標高1, 718mの利尻岳がそびえ, それをとりまいて山麓には熔岩台地と扇状地とが広がつている。火山の基盤は新第三系で, これは島の東北隅にわずかに露出するにすぎない。そして, 地表水系がみられるのも島の東北麓に限られる。そのほかの全域では, 天水は熔岩もしくは扇状地堆積物中へ浸透して地下深くに貯えられ, 海岸付近において地上もしくは海底へ湧出している。
沿岸地帯では, 地下にガイベン・ヘルツベルグの淡塩水均衡面があり, この面の谷と湧水ルートとは密接な関係にあることが考えられる。この点に着目して筆者らは, 島の西海岸において比抵抗法による均衡面探査を行ない, みいだされた谷線上でボーリングを実施して, 優秀な地下水脈の開発に成功した。