ダムの調査・設計の分野に適用されるようになった有限要素法の手順と解析の実例についてその概要を紹介した。今後, このような解析はより普及し, より広い分野で利用されるようになるものと考えられる。ダムの調査・設計の分野には経験に裏打ちされたEngineering Judgementに頼って仕事を進める例が多かったし, 今後も行なわれるものと思われる。しかし, F.E.M. などの手段を通じて, 幾つかのケースについて予めシミュレートすることが可能となればJudgementを下す際に大きな助けとなるものと考えられる。
一方, 境界条件を与えてやりさえすれば電算機は各種の数字を打出してくる。打出された数字を無批判に信じ込むことは現実から遊離を招くことになり, 多くの危険をはらんでいる。モデル化と結果の解釈がこの手法の最も重要な部分であることは論をまたない。