応用地質
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土砂トンネルの切羽安定性評価に基づく地山分類法
木谷 日出男
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2000 年 41 巻 1 号 p. 2-11

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抄録

土砂地山は粘性土, 砂質土, 礫質土および火山砕屑物等の特殊土の総称であり, 低い強度を共通の条件とする. このうち, 粘性土を除く粒状土からなる土砂地山ではトンネル建設上の重要な問題としてトンネル湧水に伴う切羽の流出の発生がある. そのため, 粒状土からなる地山でのトンネル設計では切羽の安定性が必要条件となっている. 筆者は切羽の状態変化を明瞭に区分することを目的として, 施工データの統計手法による分析, モデル実験や数値解析によるパラメータ解析に基づく境界条件の考察を主に砂質土地山を対象として行った.
本論では, これらの成果に基づき, 鉄道トンネルに適用する砂質土の地山状態の分類法を以下のように提案する.
[IN]: 切羽がほぼ安定した状態とみなされる地山
[IL]: 切羽が不安定で, わずかな変化によって流出する可能性のある状態の地山
[特L]: [IL] よりもさらに切羽の自立性が著しく低い状況にあり, トンネル掘削に支障する重大な状態変化が予測される状態の地山
[IN] と [IL] の境界値は細粒分含有率 (Fc) により区分し, Fc≧10%を [IN] の条件とする. また, [IL] と [特L] の境界値は相対密度 (Dr) により区分し, Dr<80%を [特L] の条件とする. なお, この分類基準の適用条件として, 切羽中心からの圧力水頭条件をWL<10mとする.
さらに, 砂質土以外の粒状土の評価に関する実験的検討や複雑な地質構成からなる層状の地盤構造としての特徴の考察から, 土砂地山の分類の手順を提案する.

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© 日本応用地質学会
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