応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
CNS元素分析による出雲平野神西湖周辺の完新世堆積物の堆積環境評価とその地盤工学への応用
石原 廣和亀井 健史中村 唯史
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 41 巻 1 号 p. 12-23

詳細
抄録
本研究では, 全有機炭素・全窒素・全硫黄に代表される元素分析と一連の土質試験結果を基に, 出雲平野神西湖周辺の完新世堆積物の堆積環境とその元素分析結果の地盤工学への応用を検討している. その結果, CNS元素分析結果に基づいた地球化学的層序を明らかにし, C/S比・C/N比・TSが堆積環境評価に有意であることを示唆した. また, 完新世における海進, 海退および河川の埋積によって形成された出雲平野南西部の地盤の形成過程を明らかにした. さらに, これまで定性的に考えられてきた土のセメンテーションの効果が, CNS元素分析から得られたCaCO3量によってほぼ定量的に表され, その値が土の原位置における強度変形特性とよく対応していることを実証した.
以上のことから, 本論文では地盤が有する広域性と土構造物に必要とされる長期性・安全性さらには自然環境との調和を考えた場合, 今後は個々の分野が個別に研究するのではなく, 境界領域を越えた学際的な研究を行うことがきわめて重要であることを示唆している.
著者関連情報
© 日本応用地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top