2000 年 41 巻 3 号 p. 141-149
軟岩をフィルダムの基礎とした場合, 監査廊の設計や堤体遮水部の安全性を検討するために, 堤体築造による基礎の変形量やその分布を予測する必要がある. ダム基礎軟岩の変形性は, 平板載荷試験における載荷力と地表面の沈下量から, 均質等方1層地盤の弾性理論解を用いて評価されることが一般的である. しかし, 掘削による表層の緩みは変形性評価誤差の一因となる. 本論文では, 表層緩みが平板載荷試験結果に及ぼす影響をFEM弾性解析により定量的に評価した. さらに, 表層緩みが存在した場合に緩みのない層の変形性を評価する方法として, 載荷板中心軸沿いの地盤内鉛直ひずみの計測値を用いる方法と, 異なる径の載荷板による平板載荷試験を利用する方法について検討した.
その結果, 緩みの深さと程度が増すにつれ, 載荷力と地表面の沈下量による変形性評価の誤差が大きくなるが, 載荷板中心軸沿いの多点で計測された地盤内鉛直ひずみを用いるか, 異なる3つの径の載荷板を用いて試験を実施することで, 緩みの深さと程度に加えて, 実用的な精度で緩みのない層の変形性を評価できることがわかった.