応用地質
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斜面ハザードマップの作成とその課題
藤田 崇横田 修一郎中筋 章人
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2001 年 41 巻 6 号 p. 351-362

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抄録

多くの急斜面が発達するわが国では, 毎年各所で地すべりなどの斜面変動が発生している. これにより, 人命の損失を含む甚大な被害が生じ, 最大の自然災害の大きな部分を占める. しかし, 斜面変動発生の予知・予測は困難であり, それに伴う災害防止・軽減も十分とはいえない.
わが国では, 火山地域を除いて公開されたハザードマップは決して多くはない. これはハザードマップ作成にあたって次のような困難さによるものである. それは, 斜面の不安定性の評価の技術的問題ソースデータとそのデジタル化ならびにGISの適用の遅れ, 情報公開の問題, とくに住民との関係の円滑化不足などである. 2001年には土砂災害防止法が施行されるので, ハザードマップの必要性はいっそう高まるであろう. 本稿では比較的進んでいる火山のハザードマップを具体的にとり上げ, 火山噴火の予知・予測, 災害の種類, 過去の災害実績に基づく災害の想定とマップの作成手法, 災害シナリオの想定などを紹介する.

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© 日本応用地質学会
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