応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
急崖岩盤斜面における崩土到達範囲確率予測の実斜面への適用
桑野 健佐々木 靖人
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 45 巻 3 号 p. 135-144

詳細
抄録

豊浜トンネル岩盤崩落事故などで知られるように岩盤崩壊は深刻な影響を与えることがある. そのため岩盤崩壊の防災管理手法としてGISを利用したハザードマップの作成が研究されている. ハザードマップ作成に向けて, 筆者らは多変量統計解析による崩土到達範囲確率予測手法をすでに提案しており, 予測値と実測値との間で良い相関を得ている. 本研究では, その予測手法を実際の道路斜面で使用する場合の有効性を検証するため, 現地岩盤崩壊との比較を行った. さらに到達範囲を検討するうえで重要となる崩土の平面的広がり (崩土形状) について, 予測値と過去の崩壊記録とを対比することにより, 最も精度良く危険地域を表示できる崩土形状を検討した.
その結果, 提案した崩土到達範囲の確率予測手法は, 崩壊形態が岩盤崩壊であれば適用が可能であることが判明した. また, 崩土形状を到達距離と飛散幅を各辺とする矩形にすることにより, 崩土は概ね累積分布確率40~60%の範囲内に収まることが認められ, その有効性が検証された. ただし, 斜面条件によっては到達範囲が大きく広がる可能性があるので注意が必要である. 今後は本研究の結果を利用して, 岩盤崩壊のGISを利用したハザードマップシステムの構築を目指す.

著者関連情報
© 日本応用地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top