応用地質
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フィリピン・ピナッボ火口湖決壊に関する予備研究
楊 普才横山 昇井上 公夫網野 功輔
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2005 年 46 巻 5 号 p. 287-292

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抄録
フィリピン・ピナッボ火山では, 1991年の噴火後, 直径2,000m, 深度600mの火口湖が形成された. この火口湖から流下する放射線状の水系は, 新しい火砕流堆積物層を深く浸食して, 急谷斜面での崩壊やラハールが発生されやすい状態となっている. そのため, 急谷斜面での崩壊や, それに伴うラハールの発生によるピナッボ火山山麓地域の被災が懸念されていた. 2002年7月10日の集中豪雨時にピナッボ火山西麓を流れるブカオ川においてラハールが発生し, 地元の人々の大きな関心が集まった. このラハールの発生原因は火口湖北西斜面に位置するマラオノットノッチの決壊によるものであると推定された. 筆者らはこの推定結果に基づき, マラオノットノッチの決壊メカニズムや, ラハールの発生原因等を観察するためマラオノットノッチ付近でのヘリコプターからの目視および現地踏査を実施した. 本報告では, これらの調査結果をまとめ, 地質的にマラオノットノッチ決壊の原因を考察し, さらに再決壊に対する対策を提案した.
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© 日本応用地質学会
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