2006 年 47 巻 2 号 p. 77-87
和泉層群の砂岩頁岩互層からなる地山を, 熱水変質の履歴の有無と地すべりの履歴の有無によって4種類に分類し, 高速道路トンネルの施工データを用いて分類の妥当性を検証した. その結果, 熱水変質を受けていない場合には, 非地すべり性および地すべり性の地山とも, CおよびD等級の両区間での内空変位は小さいが, 熱水変質を受けた地山では, 地すべりの履歴の有無にかかわらず, CおよびD等級の両区間とも内空変位が大きくなっている. これら4つの地山区分に基づけば, トンネル施工時の地山等級と内空変位の出現傾向を予測することができ, 地山等級や地山挙動を大局的に判定するのに有効である. また, 熱水変質を受けた地山では, 膨潤性粘土鉱物の影響が推察されるため, 地山評価においては膨潤性粘土鉱物の有無の現場確認が重要である.