応用地質
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三次元落石シミュレーションの適用性に関する検討
北海道日方泊覆道における落石の場合
細谷 昭悟氏平 増之宮下 尚志池田 泰之鈴木 伸二
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2006 年 47 巻 2 号 p. 98-109

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抄録
著者らは, ロックシェッド, 落石防護壁, 防護網等落石防護工の建設に先立ち落下速度, 落下経路, 跳躍量, 走向方向への広がりなどを推定するための三次元落石シミュレーション法に関する研究を行っている. 既報では, シミュレーションの理論と直線型斜面, 砕石場の斜面を対象とした場合の計算結果を示し, 適合性を検討した. 本研究では, 北海道増毛町の日方泊覆道上部の斜面で発生した小規模な落石例を取り上げ, 既往の計算条件での計算結果と比較し, 計算結果が実際の落石分布とより近くなる計算条件を解析した. この研究で得られた主な結果は以下のようである. 1) 砕石場を対象とした既往の計算条件下では, 実データと比較した場合, 落下速度分布は妥当な分布であったが, 「到達距離が大きい」, 「走向方向への広がりがせまい」, 「跳躍量が大きい」という結果を得た. 衝突後の飛び出し速度鉛直成分が大きめであることが主な理由と推論した. 2) 逆解析から, 粘性減衰定数ηのみを2.0倍まで変化させることで, 落石の実例に近い「到達距離分布」, 「走行方向への広がりの分布」が算出され, 実斜面の落石に対する解析条件を同定できるとした.
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© 日本応用地質学会
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