応用地質
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成羽層群地すべりの特徴
“破砕炭質層” とすべり面の形成・発達との関係
田中 元山田 琢哉鈴木 茂之
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2006 年 47 巻 5 号 p. 259-268

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抄録

岡山県の三畳系成羽層群分布域には炭層地すべりが多発し, 成羽層群地すべりと呼ばれている. 名原地区での事例研究から, 発生場の地質的背景とすべり面の特徴を検討した. 成羽層群地すべりでは, 破断した砂岩が主に地すべり土塊を構成し, すべり面は炭質層に形成されている. 地すべりと岩相, すべり面と炭質層の間には次の特徴が認められた. 1) 地すべりが発達する地層は, 炭質層の多い河成層で, その岩相は, 砂岩層・砂岩泥岩互層・泥岩層・炭質層の順に上方細粒化する厚さ5~10m程度の小規模なユニットの繰り返しからなる. 2) このユニットでは, 下部の砂岩層と最上部の炭質層の間の強度差と延性度較差が大きいため, 曲げ褶曲形成の際に, ユニットの境界部に勇断すべりを生じやすい. 3) とくに, ユニットの境界部が炭質層の場合, 選択的に破砕帯が形成されてほとんどが粉炭状を呈する“破砕炭質層”となり, すべり面の多くはこの部分に生じる.

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© 日本応用地質学会
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