応用地質
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透水係数の測定時間短縮を目的としたトランジェント・パルス法の改良と考察
谷川 亘坂口 真澄
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2008 年 49 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

難透水性の透水係数を測定する方法の一つに, トランジェントパルス法がある. この測定法は間隙圧振動法やフローポンプ法と比較して単純なシステムを用いて行えるという長所があるが, 測定時間が大幅にかかるという問題点がある. そこで本研究では貯留槽の容積を約4.05ccまで小さくすることにより測定時間の短縮を試みた. 三つの異なる岩石について100MPaまで封圧を変化させて透水係数を測定したところ, いずれの岩石も初期封圧時の値に対して約1桁減少した. 稲田花南岩は過去に報告されている透水係数とほぼ同じ値を示し, 他の二つの岩石についても定流量法で測定した結果と同じ値を示した. 一方, これまで報告されている透水係数の間隙差圧の影響は認められず, 水圧上昇に伴う顕著な透水係数の上昇が認められた. また, 窒素ガスで間接的に水を加圧して測定した透水係数が水圧ポンプで圧縮加圧して測定した値と同じ値を示した. よって本測定システムを用いることにより, これまでのシステムと比較して大幅な測定時間の短縮をはかることが可能であることが明らかとなった. 今後, より精度を上げた透水係数を測定するために, 貯留容積を小さくすることで発生する問題点を改善する必要がある.

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© 日本応用地質学会
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