応用地質
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堆積岩の粘弾性的性質
林田 精郎
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1968 年 9 巻 3 号 p. 105-112

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抄録
Klineが高分子の粘弾性の測定に用いたものと同じような方法で二、三の岩石について湿潤状態および乾燥状態で共振周波数frと半価値幅Δfを測定した。この方法では次式により複素弾性率の実数部E'と虚数部E''およびQua1ity Factor Qを求めた。
この結果E'とQは湿潤にしたことにより同じ試料が乾燥状態のときよりも小さくなった。またE''は湿潤にしたことにより, 著しく増加した。これは岩石の固体物質と室隙内の水が相対運動をするためで, 湿潤な場合, 岩石の動的な粘性は水の相対運動によるものが殆んどであるとみられる。E'は一般に400℃まででは, 温度の上昇につれて減少するが, 宮井層群の砂岩や比較のために測定した玄武岩のあるものでは異常な変化をするものがある。このような異常変化は岩石の鉱物組成と密接な関係があるように思われる。
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