災害科学の研究において, 気象学や地理学とともに地質学は重要な地位を占めている。
地質学の応用研究の対象として, 日本の自然災害を採りあげる場合, 基礎知識として災害の時代的変遷過程を知っておく必要があるが, それに関する体系化はほとんど試みられていない現状である。
この研究は, 最近の応用地質学の諸知識ならびに災害の詳細な実態調査に立脚して, わが国災害の時代区分を試みたものであり, 応用地質の一分野として災害を研究する場合の基礎資料ともなれば幸である。
災害の時代区分において, 古代から現代まで五段階に区分し, 各段階に主要災害, 従属災害を見出し現代の主要災害を都市災害としている。