1994 年 10 巻 2 号 p. 45-53
四国愛媛県の東予地方でコンピュータ教育と取り組んでいる公立小学校の16校に対して,1993年7月に学校訪問を実施し質問紙とインタビューによる実態調査を行った.調査項目は,ロジャーズ,E.M.の「組織内の技術革新の段階的過程のモデル」を検討して設定した.調査結果では,16校のうち積極的な活用をしている小学校は3か校,中間的な活用をしている学校は3か校,あとの9か校は低調な活用にとどまっている.このなかには早い時期にコンピュータを導入して,低調な活用状態に陥っている学校があった.また同じ時期に導入しても,学校内でのカリキュラムの策定などの違いによって,教育実践とコンピュータ活用に差異が生じている.コンピュータの積極的な活用と教育実践には,多様な条件整備と支援,そして継続的な努力が必要なことが明らかになった.