抄録
本研究の目的は,学校教員の探究学習に対する意識と教員の指導観との関連性について検討し,探究学習に関する教員研修を充実化するための基礎的知見を得ることである.小学校教員209名,中学校教員210名,高等学校教員210名を調査対象とし,探究学習に対する意識(探究学習に対するイメージ,重要性認識,指導に対する自信の3項目),および教員の指導観を把握する調査を実施した.分析の結果,基本的な概念を重視し,児童・生徒の主体性と個別最適化に焦点を当て,得意分野での児童・生徒の能力を育てる教員は,探究学習に対する意識が高い傾向がある一方,学力による入学試験に注力する教員は,探究学習に対する意識が低い傾向が認められた.また高校教員は,小・中学校教員と比較して,探究学習の重要性認識が低い傾向が認められた.以上のことから,指導観や校種の違いによって,適切な探究学習の教員研修プログラムに違いがある可能性が示唆された.