抄録
体育専攻男子学生25名を被験者として1000m滑走を歩くスキー用具で実施した。1000m滑走の記録と対体重最大酸素摂取量の関係, 滑走速度とストライドとピッチとの関係, 及びスピードの異なる3名の滑走フォームを比較検討し, 次の結果を得た。
1. 1000m滑走の平均記録は4分53秒 (SD=21秒) で, 平均滑走速度250.7m/min. (SD=15) であった。
2. 150m地点と950m地点での滑走速度, ストライド, ピッチの相関をみた。150m地点で, 滑走速度とストライドの間にr=0.71 (df=23, p<0.01) の相関がみられた。ストライドとピッチの間にr=-0.70 (df=23, p<0.01) の逆相関がみられた。950m地点においても滑走速度とストライドの間にr=0.77 (df=23, p<0.01) の相関がみられた。ストライドとピッチの間にr=-0.57 (df=23, p<0.01) の逆相関がみられた。
3. 150m地点と950m地点での交互滑走の速度はそれぞれ分速244m, 225mで5%水準で有意な減少を示した。ストライドも2.25mから2.00mと5%水準で有意に減少した。
4. スピードの異なる3名の被験者の滑走を比較した結果, 次の特徴がみられた。
1) スピードのある被験者ほど滑走局面が長く, 蹴り局面, 静止局面およびストックを雪面につけている局面が短かった。また, 蹴り局面で重心が雪面に対し水平に移動し, 滑走局面で重心-滑走足と雪面とのなす角度が小さかった。
2) スピードのある被験者ほど両足が揃う時点で, 上体の前傾が大きく, 膝関節の屈曲は小さかった。蹴り局面では滑走脚の股関節が屈曲されず, 蹴り放しの時点では上体の前傾, 蹴り脚と滑走脚の股, 膝関節角度が大きかった。滑走局面では滑走脚の股関節が伸展され, ストックをつく時点で両脚の股, 膝関節角度, ストック角が大きかった。