2024 年 5 巻 3 号 p. 164-168
組織欠損を有する包括的高度慢性下肢虚血 (CLTI) は下肢閉塞性動脈疾患の最重症であり, 下肢大切断リスクも非常に高い疾患である. 下肢に虚血を有する場合は血管内治療 (EVT) や外科的バイパス術による血行再建が必要となるが, 病変解剖によっては必ずしも全ての患者に行えるわけではない. そのような患者においてはLDLアフェレーシスなどの補助療法が適応となる. 現在, 本邦では難治性の創傷を有するCLTI患者に対してLDLアフェレーシスであるレオカーナが使用できる. 今回, われわれはCLTI患者にレオカーナが有効であった症例を報告する. 患者は66歳男性の透析患者. 右第1趾に難治性潰瘍を認めたため下肢造影を行うと足関節以下病変であった. まずは創傷治療で経過を見ていたが治癒傾向にないためEVTによる足背動脈の血行再建を行った. しかし, その後デブリドマンを行うも壊死が進行したためレオカーナによる治療を開始した. フォローアップの下肢造影では以前認めなかったwound blushも観察され, 最終的に創傷治癒を得た. 積極的な血行再建を行うも効果に乏しく, レオカーナが著効した症例を経験したので報告する.