圧迫療法は弾性ストッキングや弾性包帯などで身体に圧迫圧をかける治療法であり, 下肢静脈瘤や静脈血栓後症候群などの静脈疾患の諸症状の改善, 静脈血栓塞栓症の予防, 浮腫の治療に用いられる. 圧迫療法の作用機序については多くの研究がなされており, 静脈還流の改善, 微小循環の改善, リンパ流の促進が主体となる. また, 臨床では圧迫療法を規定する4つの因子(P-LA-C-E), すなわち圧迫圧 (pressure: P), 層 (layer: LA), 構成要素 (component: C), 伸縮性 (elasticity: E) に分けて考え, 特に圧迫圧, 伸縮性と伸び硬度の概念が重要である. 圧迫療法に使用される主な医療用機器には弾性ストッキング, 弾性包帯, 調節型圧迫装具および間欠的空気圧迫法の4種類がある. それぞれの特徴を理解し, 使用目的に応じた適切な選択と正しい使用方法が求められる. 圧迫療法は一般的に非侵襲的で安全とされているが, 多くの有害事象の報告もある. 有害事象を発生させずに, 十分な効果を得るためには, 正しい適応, 弾性着衣や弾性包帯の圧迫圧・タイプ・サイズの適切な選択, 着用時および着用後の注意深い観察が大切である.