日本フットケア・足病医学会誌
Online ISSN : 2435-4783
Print ISSN : 2435-4775
原著
理学療法士が対象とする足病患者に関する実態調査
林 久恵河野 健一木村 和樹今岡 信介大関 直也河辺 信秀
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2025 年 6 巻 2 号 p. 90-96

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抄録

背景・目的:
 2022年4月「糖尿病足病変」が運動器リハビリテーション (リハ) 料の対象疾患に追加され, 対象者が拡大した. 2023年度の実態調査では, 診療報酬改定前と比較して足病に関与する理学療法士 (PT) の割合に変化は見られず, 関与できない理由として専門性が障壁となっていることや対象者への対応の難易度が高いことが確認された. そこで本調査では臨床における対象者像を明らかにするため, PTが対応した足病患者について実態調査を行った.
方法:
 2021年度および2022年度に調査協力施設11施設にて足病に対し理学療法を行った症例の属性, 併存疾患, 創傷形成原因, 足病重症度, 主診療科, 診療報酬算定区分, 足病の転帰について調査した.
結果・まとめ:
 改定前後の症例数は138例と165例で, 運動器リハ料算定が20.3%から52.1%, 形成外科からの処方が15.2%から37.6%, 透析患者の割合が31.2%から44.2%に増加した. 退院時歩行能力が低下した患者の割合は12.3%から10.9%に減少した. 年齢, 性別, 重症度, 創傷形成原因には有意差がなかったが, 原因として虚血の進行が60%以上を占め, 退院時未治癒例が約42%であったことから退院後の下肢虚血と創傷管理への配慮が重要であると考えられた.

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© 2025 一般社団法人日本フットケア・足病医学会
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