足潰瘍の診療にあたる皮膚科医として言えば, 皮膚潰瘍は動静脈の血行障害を基盤とするものも多いが, 各種の皮膚疾患でも生じる. 視診, 触診で判断し, さらに皮膚生検による病理検査に加え, 各種の検体検査や生理検査によって総合的に鑑別診断を行う.
血管炎に伴う足潰瘍では, 紫斑がみられる場合が多い. その紫斑もpalpable purpuraと呼ばれ, 浸潤を触れることが特徴である. 臓器病変の評価も不可欠となる. 膠原病の範疇には多くの疾患が含まれ, 多彩な病態を呈する. 足潰瘍を生じる原因として, 血管炎の場合と血行障害の場合がある. 血栓症に伴う足潰瘍では, 緊急を要する場合があるので速やかな判断を要し, 不可逆的な病態に陥らないよう慎重を期す. 足の浮腫にはさまざまな要因があり, 基盤となる臓器不全や低栄養を改善しなくてはならない. 廃用性浮腫では軽微な外力で潰瘍を形成するので, 生活習慣の整えが必要となる.
皮膚潰瘍が慢性化する要因として, 患者の問題, 創傷の問題に加えて, 不確かな判断によることもある. 診断する時, 経過をみる時, 視診, 触診の重要性を強調したい.
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