日本フットケア・足病医学会誌
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第6回日本フットケア・足病医学会年次学術集会のご案内
特集:足病変をみる際に必要な皮膚科の知識~これだけは見落とさないように~
  • 小谷 はるみ
    2025 年6 巻2 号 p. 71-76
    発行日: 2025/05/31
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

     足には, 全身の皮疹を反映したものから足独自のものまで, さまざまな皮膚疾患が認められる. フットケアの観点からは, 足爪白癬や鶏眼, 胼胝などが身近な疾患である. 本稿では, これら身近な疾患に加え, 普段目にしない皮膚疾患について, 湿疹・皮膚炎群, 膿疱症, 角化症, 炎症性角化症, 感染症の各分野の皮膚疾患について概説する. なお, ここに含まれない皮膚疾患が全身症状の一部として足に出現する場合もあるため, 足に皮疹がある場合には全身の他部位にも皮疹がないか観察することが望ましい.

  • 鹿児山 浩
    2025 年6 巻2 号 p. 77-83
    発行日: 2025/05/31
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

     下肢は全体重を支える重要な役割を担い, 特に足底は地面とふれることで常に外的刺激を受けている器官である. 皮膚潰瘍や腫瘍など様々な皮膚病変をきたし, ときに日常生活に大きな支障をきたすこともある. そのため早期に診断を行い, 適切な治療介入を行わなければならない. しかし,足底は普段から目にする機会の少ない場所であり, 病変の出現に患者自身も気づかず見逃され,自覚した時にはすでに病期が進行した状態となっている症例をしばしば経験する. 患者のセルフチェックだけでなく, われわれ医療従事者も診察の際には注意深く観察し, 早期発見を心掛けなければならない. 特に注意すべきは悪性黒色腫であり, それに類似した色素性病変との鑑別が重要となる. また難治性の皮膚潰瘍の中には,時として有棘細胞癌をはじめとした皮膚悪性腫瘍を認めることもある. 本稿ではフットケアの際に注意すべき皮膚腫瘍について,臨床的な特徴や病理組織学的な所見,各種検査などについて解説する.

  • 岡田 克之
    2025 年6 巻2 号 p. 84-89
    発行日: 2025/05/31
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

     足潰瘍の診療にあたる皮膚科医として言えば, 皮膚潰瘍は動静脈の血行障害を基盤とするものも多いが, 各種の皮膚疾患でも生じる. 視診, 触診で判断し, さらに皮膚生検による病理検査に加え, 各種の検体検査や生理検査によって総合的に鑑別診断を行う.
     血管炎に伴う足潰瘍では, 紫斑がみられる場合が多い. その紫斑もpalpable purpuraと呼ばれ, 浸潤を触れることが特徴である. 臓器病変の評価も不可欠となる. 膠原病の範疇には多くの疾患が含まれ, 多彩な病態を呈する. 足潰瘍を生じる原因として, 血管炎の場合と血行障害の場合がある. 血栓症に伴う足潰瘍では, 緊急を要する場合があるので速やかな判断を要し, 不可逆的な病態に陥らないよう慎重を期す. 足の浮腫にはさまざまな要因があり, 基盤となる臓器不全や低栄養を改善しなくてはならない. 廃用性浮腫では軽微な外力で潰瘍を形成するので, 生活習慣の整えが必要となる.
      皮膚潰瘍が慢性化する要因として, 患者の問題, 創傷の問題に加えて, 不確かな判断によることもある. 診断する時, 経過をみる時, 視診, 触診の重要性を強調したい.

原著
  • 林 久恵, 河野 健一, 木村 和樹, 今岡 信介, 大関 直也, 河辺 信秀
    2025 年6 巻2 号 p. 90-96
    発行日: 2025/05/31
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

    背景・目的:
     2022年4月「糖尿病足病変」が運動器リハビリテーション (リハ) 料の対象疾患に追加され, 対象者が拡大した. 2023年度の実態調査では, 診療報酬改定前と比較して足病に関与する理学療法士 (PT) の割合に変化は見られず, 関与できない理由として専門性が障壁となっていることや対象者への対応の難易度が高いことが確認された. そこで本調査では臨床における対象者像を明らかにするため, PTが対応した足病患者について実態調査を行った.
    方法:
     2021年度および2022年度に調査協力施設11施設にて足病に対し理学療法を行った症例の属性, 併存疾患, 創傷形成原因, 足病重症度, 主診療科, 診療報酬算定区分, 足病の転帰について調査した.
    結果・まとめ:
     改定前後の症例数は138例と165例で, 運動器リハ料算定が20.3%から52.1%, 形成外科からの処方が15.2%から37.6%, 透析患者の割合が31.2%から44.2%に増加した. 退院時歩行能力が低下した患者の割合は12.3%から10.9%に減少した. 年齢, 性別, 重症度, 創傷形成原因には有意差がなかったが, 原因として虚血の進行が60%以上を占め, 退院時未治癒例が約42%であったことから退院後の下肢虚血と創傷管理への配慮が重要であると考えられた.

総説
  • 平井 智重子, 岩城 佳代 , 光中 弘毅
    2025 年6 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 2025/05/31
    公開日: 2025/05/31
    ジャーナル フリー

     本研究は, 日本における透析患者を対象に外来で行うフットケアに関する文献検討を行い, 研究動向や今後の課題について明らかにすることを目的とした. 医学中央雑誌を用いて, 「透析患者」「フットケア」「外来看護」をキーワードとする原著論文を対象に文献検索を行い, 本研究目的と合致する18文献を分析対象とした.
     分析の結果, 透析クリニックにおける患者を対象とした研究報告は少なく, 包括的高度慢性下肢虚血の発生率が高い透析患者において, 定期的な観察による足病変の早期発見は重症化予防に貢献するにも関わらず, 透析患者に対する下肢救済の認識が低いことが推察された.

症例報告
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