76歳女性. 自宅で転倒し左足関節をひねり受傷した. 左足関節開放性脱臼骨折の診断で一時的創外固定設置術を施行した. 軟部組織の状態の回復を待ち, 受傷後13日に観血的整復固定術を施行した. 術後6日に両果部で創離開し, 創傷処置を継続したが術後4週でプレートが露出した. 深部への感染が危惧されたが, 骨癒合を得るためにプレート温存の方針とし, 全身麻酔下のデブリードマン後に局所陰圧洗浄療法 (negative pressure wound therapy with instillation and dwelling: NPWTi-d) を開始した.NPWTi-dの開始から1週後, プレートのスクリューホールに肉芽形成が確認された. そのためスクリューを2本抜去し, さらなる肉芽形成に期待した.NPWTi-dの開始から5週でプレートが完全に肉芽で被覆されたため, NPWTを終了し被覆材のみとした. 術後8週で創部は上皮化した. 日本足の外科学会足関節・後足部判定基準は100点で, X線画像上, 骨折部の転位は無く経過している. 露出したプレート上へのNPWTの治療の報告はあるが, 足関節などの軟部組織の乏しい部位での報告は少ない. 本症例ではスクリューホールから形成された肉芽が創縁の肉芽と癒合し, プレートが被覆されたように観察された. この肉芽形成の様式は, プレート温存での上皮化に有用であると考える.