2026 年 7 巻 1 号 p. 70-75
Trousseau症候群は, 悪性腫瘍に伴う凝固能亢進状態を背景に, 全身の血栓塞栓症を引き起こす病態である. 本症候群は, 悪性腫瘍 (特に腺癌) に合併する播種性血管内凝固症候群 (DIC) に伴う血栓症, 非細菌性血栓性心内膜炎に起因する全身性 (特に脳梗塞の発症が顕著である) 塞栓症など, がん関連血栓症 (cancer-associated thrombosis: CAT) としても知られる. 治療に難渋し, 予後不良例が多い. 本症例では, 両足趾潰瘍を契機にTrousseau症候群が診断され, 肺癌, 深部静脈血栓症, 脳梗塞が認められた. 本疾患は足趾潰瘍を診療する科においても鑑別疾患として考慮すべきである.