2026 年 7 巻 1 号 p. 76-80
外反母趾に対する術式にLapidus変法があり, 髄内釘やプレートを内固定具に用いることが多い. Lapidus変法を施行し, 髄内釘に伴う術中合併症やプレート使用に伴う皮膚障害を生じたため, 局所陰圧閉鎖療法 (NPWT) にて治療した症例を経験したので報告する. 症例は90歳女性. 人工透析療法中. 外反母趾の手術目的で当院へ紹介受診となった. 術中, インプラント挿入中に髄内釘が骨内で大きく動いたため, 確かな固定性が得られないと判断しプレート固定に変更した. 術後足背や右第2趾にうっ血や色調変化を認め, 表層の黒色壊死に至った. デブリードマン, NPWTを施行し, 術後3ヵ月で第2趾指尖部が脱落したものの上皮化を認めた. 高齢, 透析中のため骨や軟部組織の脆弱性を加味し, 髄内釘を用いたLapidus変法を計画したが, 術中トラブルによりプレート固定となった. プレートによる軟部組織侵襲と, 透析に伴う血行不全とが複合的に作用し, 皮膚壊死を引き起こしたと推察するが, 指尖部からのワイヤー固定, 手術時間の延長, バルキー包帯等, 他の要因も影響を及ぼした可能性がある. 術前に骨強度と血行動態を評価し, 必要に応じた周術期管理を行うことで, 合併症のリスクを低減できると考える.