日本遺伝看護学会誌
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原著
助産師を対象とした周産期の喪失ケアのための継続教育プログラムの有効性の検討 ―介入前後と介入後3か月の比較―
岡永 真由美
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2018 年 16 巻 2 号 p. 45-55

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抄録

 本研究では、助産師を対象とした周産期の喪失ケアのための継続教育プログラムを実施し、助産師の知識、実践、ケアへの気持ちはVASを用いた自己評価の変化、3か月後の実践目標の自己評価から教育プログラムの有効性を検討することを目的とした。研究方法は、周産期喪失ケアへの自己評価(知識、実践、ケアへの気持ち)を含めた質問紙を用い、プログラム前、プログラム終了時、3か月後の3時点の変化を変数ごとに比較した。また3か月後の実践目標設定内容および面接調査による実践目標の自己評価は、内容分析を用いた。研究実施に際しては、所属機関の倫理委員会の承認を得た。

 対象者は21名の助産師で、周産期の喪失ケアに対する自己評価は3時点で概ね平均値の上昇を認めた。知識と実践で有意なVAS数値が増加した項目は、母親の悲嘆反応、父親の悲嘆反応、夫婦の関係性、実践での有意なVAS数値が増加した項目は妊娠期からの親子の愛着であった。さらに、対象者自身の周産期の喪失ケアへの気持ちについても、有意にVAS数値が増加した。

 3か月後の実践目標の自己評価は、【愛着や悲嘆の理論にケアがつながる】、【父親にも配慮する】、【同胞も含めた家族の悲嘆としてとらえる】、【ケアの連続性を意識する】、【ケースカンファレンスの活用】、【助産師自身の悲嘆への気づき】、【同僚の反応に気づく】、【同僚を支える】、【ケアを意味づける】、【自己課題の明確化】の10カテゴリーが抽出された。

 本教育プログラムにより、対象者は、周産期喪失ケアへの知識や実践への3時点での自己評価が高まり、夫婦の関係性を意識したケアを実践していた。またカンファレンスを活用することにより、スタッフ同士の支えへの意識づけができた。さらに対象者同士の情報共有は、ケアを再確認する機会となった。以上のことから、本プログラムの有効性が示唆された。

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